電動歯ブラシとは?使用するメリットや注意点を徹底解説
手磨きブラシよりも効率よく歯垢を落とせる「電動歯ブラシ」。
歯垢除去力○○%!!
といった電動歯ブラシ製品のキャッチフレーズを見て、興味を持つ人も多いのではないでしょうか。
そんな人のために本記事では、電動歯ブラシの概要を説明した上で、使用するメリットや注意点について解説します。
そもそも電動歯ブラシとは?
そもそも電動歯ブラシとは、内蔵モーターによってブラシを振動または回転させることで、効率よく歯垢を落とせる製品です。
数年前よりも多種多様な電動歯ブラシが販売されるようになり、実際に使用している人を見かけたこともあるのではないでしょうか。
電動歯ブラシの歴史
最近ではよく見かける電動歯ブラシですが、いつ頃から登場したものなのでしょう。
もともと1880年に、イギリスの医師であるスコット博士が最初の電動歯ブラシを発明しましたが、それは電気を全く使用せず、現在のイメージされる電動歯ブラシとは全く違うものです。
その後、1954年にWoong博士が電気を使用する本物の電動歯ブラシを発明し、1959 年に「Broxodent」という名前でアメリカにて販売されました。
しかし、Broxodentはコンセントに接続すると動作するタイプの電動歯ブラシです。
コンセントに接続したまま使用するのは、不便かつ感電の危険もあったため、広く受け入れられることはありませんでした。
電動歯ブラシが本格的に普及しはじめたのは、ゼネラル エレクトリックがコードレスの充電式モデルの電動歯ブラシを販売してからです。
充電式モデルが登場したことにより、電動歯ブラシが普及するようになりました。
電動歯ブラシの歴史を見てみると、想像よりも昔から発明されており、長い年月をかけて改良されてきた電気製品であると分かりますね。
日本における電動歯ブラシの位置づけ
日本では1970年代から、パナソニックが電動歯ブラシの開発を進めており、2010年にはパナソニック製の「ポケットドルツ」が150万台も売れるヒットを記録しています。
ただし、ソニッケアーを販売しているフィリップスによる2019年の調査では、日本の電動歯ブラシの普及率は22%と主要9ヵ国のグローバル平均である42%よりも20%も低いことが分かっています。
オランダやスウェーデンでは手磨きブラシよりも電動歯ブラシの方が普及してる…!
日本においては、電動歯ブラシよりも手磨きブラシを使用している人が多いのが現状といえるでしょう。
電動歯ブラシの有効性
日本ではあまり普及していない電動歯ブラシですが、その有効性はどうなのでしょうか。
質の高い医療情報を発信する「コクラン」は、2014年の報告において
電動歯ブラシは手磨きブラシと比較して、歯垢と歯肉炎を減らすのに効果的である
という結論を出しています。
このレビューにより、手動歯ブラシと比較して、電動歯ブラシは長期的にも短期的にも歯垢や歯肉炎を減少させる効果があることが明らかになりました。歯垢(Quigley Hein (Turesky) index)は1~3ヶ月で11%、3ヶ月以上では21%の減少を示した。歯肉炎に関しては、1〜3ヶ月で6%の減少(Löe Silness index)が見られ、長期的には11%の減少が見られた。
Powered versus manual toothbrushing for oral healthより引用 (※「Authors’ conclusions」の冒頭を筆者が翻訳し引用)
また、筆者は手磨きから電動歯ブラシに移行した身ですが、「歯のツルツル感」などは明らかに電動歯ブラシのほうが勝っているように感じます。
というのも、手磨きブラシのときよりも”短時間”でツルツルの歯になります。
パナソニックの「ドルツ」という電動歯ブラシや、ブラウンの「オーラルB」という電動歯ブラシも推奨している歯磨き時間は約2分間です。
歯垢を落としやすいのはもちろん、「歯磨きにかける時間」を短縮することにも繋がるでしょう。
ちなみに厚生労働省のeJIMにも、信頼できる医療情報発信サイトとして”コクラン・レビュー”は紹介されています。
電動歯ブラシの種類を知ろう
多種多様な電動歯ブラシが存在していますが、大きく分けると3種類です。
- 音波式電動歯ブラシ
- 丸型回転式電動歯ブラシ
- 超音波式電動歯ブラシ
以下では、この3種類について詳しく説明します。
音波式電動歯ブラシ
音波式電動歯ブラシは、可聴周波数(20~20,000Hz)の周期で毛が左右に振動するブラシによって歯垢を落とす電動歯ブラシのことです。
ブラシヘッドが手磨きブラシと似ていて、手磨きから電動歯ブラシに移行しても違和感が少ないです。
最もポピュラーな種類であり、他2種類の電動歯ブラシよりも多くのブランド・機種から選べます。
扱いやすく癖も少ないので、初めて電動歯ブラシを使用する人にオススメです。
ただし、手磨きブラシや超音波式電動歯ブラシと比べると動作音が大きいという注意点もあります。
丸型回転式電動歯ブラシ
丸型回転式電動歯ブラシは、歯の1本1本を包み込める丸型ブラシが回転することで歯垢を落とす電動歯ブラシのことです。
ブラシヘッドが特徴的な丸型であり、手磨きからの移行だと違和感を感じるかもしれません。
電動歯ブラシの中で特に効率よく短時間で歯垢を落とせることが魅力です。
丸型回転式電動歯ブラシはOral-B(オーラルB)というブランドが販売する電動歯ブラシの種類です。
そのため、機種の選択肢が多すぎず、あまり悩まず機種を選べます。
ただし、電動歯ブラシの中では特に動作音が大きい傾向にあります。
超音波式電動歯ブラシ
超音波式電動歯ブラシは、人の耳には聞こえない高い周波数(20,000Hz以上)で振動するブラシによって歯垢を落とす電動歯ブラシのことです。
ブラシヘッドは音波式電動歯ブラシと同じく、手磨きブラシと似ている機種が多いです。
超高速な振動は細菌に作用し、歯垢の付着を弱めて落ちやすく付きにくい口内環境を作れます。
また、3種類の電動歯ブラシの中では静音性に優れた機種が特に多いです。
ただし、振動数は多いかわりに振動幅が小さいため、手磨きのように自分の手を左右に細かく動かす必要がある機種も存在します。
また、ペースメーカーや除細動器を取り付けている人は誤作動を引き起こす可能性があるため、超音波式電動歯ブラシを使用してはいけません。
電動歯ブラシを使用するメリットとは?
次に、電動歯ブラシを使用するメリットについて見ていきましょう。
手磨きから電動歯ブラシに移行することを考えている人は、事前にどんなメリットがあるのか知っておきたいですよね。
電動歯ブラシを使用するメリットは、
- 歯磨きの時間を短縮できる
- 磨きあがりがツルツルで気持ちいい
- アプリと連携して正しく歯磨きできる機種がある
- 用途に合わせてブラッシングモードを変更できる
などが挙げられます。
以下でそれぞれを詳しく見ていきましょう。
歯磨きの時間を短縮できる
電動歯ブラシを使用すると、多くの人は歯磨きの時間を短縮できるでしょう。
そもそも歯垢を適切に落とそうとすると、歯磨きにかかる時間は長くなってしまいます。
歯医者さんによっては「1回の歯磨きに10分以上かけて丁寧に磨くこと」を推奨しています。
しかし、電動歯ブラシは効率よく歯垢を落とせる製品なので、10分も歯磨きする必要はありません。
大手メーカーの電動歯ブラシは、約2分間の歯磨き時間を推奨しています。
磨きあがりがツルツルで気持ちいい
電動歯ブラシを実際に使用したことのある人は共感してくれると思いますが、電動歯ブラシを使用すると磨きあがりがツルツルで気持ちいいです。
例えるなら、歯医者さんに歯磨きをしてもらった後の歯のツルツル感や爽快感を味わえます。
電動歯ブラシで歯を常にツルツルの状態にしていると、磨き残しにも気付きやすくなることも魅力です。
アプリと連携して正しく歯磨きできる機種がある
全ての電動歯ブラシに搭載された機能ではありませんが、機種によってはアプリと連携して歯磨きできます。
スマホと電動歯ブラシをBluetoothで接続し、専用アプリを起動することで利用できます。
ブラシを当てる強さや角度が適切かをフィードバックしてくれたり、ブラシの交換タイミングをお知らせしてくれたりします。
このアプリの機能は手磨きブラシにはない大きな魅力といえるでしょう。
電動歯ブラシを一度も使用したことがない人は、これらのアプリを使用できる機種を選ぶのがいいでしょう。
用途に合わせてブラッシングモードを変更できる
多くの電動歯ブラシには「複数のブラッシングモード」が搭載されています。
例えば、フィリップスの電動歯ブラシには最大で下記のブラッシングモードが搭載されています。
ブラッシングモード | 用途 |
---|---|
クリーンモード | 毎日の歯磨きで使用するモード |
ディープクリーンモード | 気になる部分を特にキレイに磨き上げるモード |
ホワイトモード | 歯の表面に付いたステイン(着色汚れ)を落とすのに最適なモード |
ポリッシュモード | 歯の表面をよりツルツルにしたいときに最適なモード |
ガムケアモード | 歯と歯ぐきをキレイにしたいときに最適なモード |
ガムヘルスモード | 歯ぐきをマッサージするモード |
センシティブモード | 優しく振動し、知覚過敏症状の人に向いているモード |
舌磨きモード | 舌磨き用のブラシヘッドで舌をキレイにしたいときに最適なモード |
用途に合わせて最適なモードを選べるのは電動歯ブラシならではの魅力ですね。
電動歯ブラシを使用する際の注意点
電動歯ブラシを使用する際は、メリットだけではなく注意点も知っておくことが大切です。
電動歯ブラシを使用する注意点は、
- 誤った磨き方をしていると歯や歯茎への刺激が強い
- 充電し忘れたり、電池を交換し忘れたりすると使用できない
- ブラシの部分は定期的に交換が必要
などが挙げられます。
以下では、これらの注意点を詳しく解説します。
誤った磨き方をしていると歯や歯茎への刺激が強い
電動歯ブラシは誤った磨き方をしていると歯や歯ぐきへの刺激が強いです。
正しい磨き方は電動歯ブラシごとに異なるため、ここで全てを解説することは難しいです。
購入した電動歯ブラシの説明書には、正しい磨き方やブラシの当て方が記載されています。
手磨きブラシと同じ強さで磨いたり、長い時間磨きすぎたりしないようにしましょう。
ちなみにOral-Bの公式サイト(よくある質問)には、「3分以上のご使用は歯科医へご相談ください」と明記されています。
充電し忘れたり、電池を交換し忘れたりすると使用できない
手磨きブラシとは異なり、充電し忘れたり電池を交換し忘れたりすると使用できなくなります。
電動歯ブラシをずっと家で使用する人は気にならないと思いますが、電動歯ブラシを宿泊先(ホテル等)に持ち込む人は注意が必要です。
電池式であれば予備の電池を持ち歩けば全く問題ないでしょう。
しかし、充電式の場合は機種によって専用の充電器を持ち運ぶ必要があるので、荷物がかさんでしまいます。
そのため、家から持ち出す前にフル充電してあることを確認してから、電動歯ブラシを持ち運ぶようにしましょう。
ブラシの部分は定期的に交換が必要
電動歯ブラシを数か月使用していると、手磨きブラシと同じようにブラシの部分が痛んできます。
大手メーカーの電動歯ブラシは、約3ヵ月でブラシを交換することを推奨しています。
ちなみに手磨きブラシの場合、1~2ヵ月ごとに交換することを推奨している歯医者さんが多いです。
手磨きブラシよりは、推奨されているブラシの交換周期が少し長いですね!
基本的に「毛先が広がってきた」「毛先の色が変わってきた」「磨き心地が悪くなってきた」などの変化に気付いたら、ブラシを交換すればいいでしょう。
電動歯ブラシに関する機能名称の一覧表
電動歯ブラシには、さまざまな機能が存在します。
ただ、色んな機能が混在しているため、どの機能がどんな内容なのか分かりづらい現状があります。
そこで、以下の表に電動歯ブラシに関する機能名称を一覧にしました。
機能名称 | 内容 |
---|---|
イージースタート機能 | 使用回数に合わせて段階的に振動を強めていく機能。フィリップス ソニッケアーなどに搭載されている。 |
インタラクティブディスプレイ | 電動歯ブラシ本体にディスプレイを搭載し、ブラッシングモードやブラッシング時間などお知らせする機能。ブラウンのオーラルBなどに搭載されている。 |
スマートタイマー機能 | 設定されたブラッシング時間が経過すると、自動的に振動が停止する機能。大体2~3分に設定されていることが多い。フィリップス ソニッケアーなどに搭載されている。 |
ブラシペーサー機能 | ブラッシングの区切りをビープ音(「ビー」という音)や、ブラシの振動が一時停止することでお知らせする機能。電動歯ブラシの正しい使い方を実践する上で活用される。多くの電動歯ブラシに搭載されている。 |
過圧コントローラー | 歯にブラシを押し当てる力が強いときに、オーラルBの振動が優しいブラッシングモードに切り替わる機能。歯ぐきを傷つけないことを目的としている。 |
過圧ストッパー | 歯にブラシを押し当てる力が強いときに、オーラルBのブラシが上下運動しなくなる機能。歯ぐきを傷つけないことを目的としている。 |
過圧防止センサー機能 | 歯にブラシヘッドを押し当てる強さが強すぎるときにお知らせする機能。お知らせ方法は機種によって異なり、音や光によって使用者にお知らせする。過圧防止センサー機能は、フィリップス ソニッケアーで主に使用されている機能名称。他社では「押しつけ防止センサー」という機能名称で同様の機能が提供されている。 |
押しつけ防止センサー | 歯にブラシヘッドを押しあてる強さが強すぎるときにお知らせする機能。お知らせ方法は機種によって異なり、音や光によって使用者にお知らせする。押しつけ防止センサーは、オーラルBやドルツなどで使用されている機能名称。他社では「過圧防止センサー機能」という機能名称で同様の機能が提供されている場合がある。 |
動かしすぎ検出機能 | ブラッシング中に「電動歯ブラシの動かしすぎ」を検出してお知らせする機能。電動歯ブラシ本体のライトリングが光ることでお知らせしてくれる。主にフィリップス ソニッケアーに搭載されている。 |
自動強さ調整機能 | 一定時間ブラシヘッドを強くあてすぎると、自動で振動の強さ設定を一段階弱くする機能。自動強さ調整機能によって、振動が弱くなった後に強さ表示ランプボタンを押すと、強度設定を元に戻すことが可能。 |
磨き角度センサー | 歯と歯ぐきの境目を磨くときに適した45°に近づくと、ライトリングが点灯してお知らせする機能。磨き角度センサーを使用するときは、電動歯ブラシ本体が正面を向いている状態で使用する必要がある。主にパナソニック ドルツに搭載されている。 |
SenseIQテクノロジー | ソニッケアーアプリと同期させることで得られる使用者のブラッシングデータ(ブラシの動き、磨き方の癖、ブラシヘッドの選択など)をフィードバックすることで、常に最適な状態の設定が保たれる機能。 |
電動歯ブラシに搭載されている機能から自分好みの電動歯ブラシを探してみても面白いかもしれませんね。
電動歯ブラシに関するよくある質問
電動歯ブラシに関するよくある質問を分かりやすく解説します。
- 電動歯ブラシはどんな人におすすめですか?
-
電動歯ブラシは歯垢をしっかりと落としながら、歯磨きの時間を短縮したい人にオススメです。
電動歯ブラシは振動や回転の力によって、効率的に歯垢を落とすことができます。大手メーカーの電動歯ブラシは推奨歯磨き時間が約2分間と短いです。
歯医者さんに歯磨きしたもらった後の歯のツルツル感を味わえるので、使用する価値は十分にあるといえるでしょう。
- 子どもは電動歯ブラシを使用できますか?
-
3歳未満の子どもは使用するべきではありません。
電動歯ブラシを口に入れたまま予期しない動きをした場合に、口内を傷つけてしまう可能性があります。
3歳以上の子どもであっても、電動歯ブラシの振動を怖がったり、ブラシの刺激を嫌がったりした場合には手磨きブラシを使用したほうがいいでしょう。
最近では、”ポケモンの電動歯ブラシ”を始めとした「子ども用電動歯ブラシ」が登場しています。
子どもに電動歯ブラシを使用してもらう場合には、子ども用電動歯ブラシを選ぶことをオススメします。
- 電動歯ブラシを選ぶときのポイントはありますか?
-
電動歯ブラシを選ぶときのポイントは以下のとおりです。
- 電動歯ブラシの替えブラシが安く手に入るか
- 電動歯ブラシの替えブラシは簡単に入手できるか
- 電動歯ブラシの重量が重たくないか
電動歯ブラシを購入する前に、これら3点を確認しておくことで購入後に後悔する可能性がグッと下がります。
まとめ
電動歯ブラシへの理解は深まったでしょうか。最後に記事の内容をまとめます。
- 電動歯ブラシとは、内蔵モーターによってブラシを振動または回転させることで、効率よく歯垢を落とせる製品
- 電動歯ブラシは以下の3種類
- 音波式電動歯ブラシ
- 丸型回転式電動歯ブラシ
- 超音波式電動歯ブラシ
- 電動歯ブラシを使用するメリットは以下の4つ
- 歯磨きの時間を短縮できる
- 磨きあがりがツルツルで気持ちいい
- アプリと連携して正しく歯磨きできる機種がある
- 用途に合わせてブラッシングモードを変更できる
- 電動歯ブラシを使用する注意点は以下の3つ
- 誤った磨き方をしていると歯や歯茎への刺激が強い
- 充電し忘れたり、電池を交換し忘れたりすると使用できない
- ブラシの部分は定期的に交換が必要